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■ 今、脳が面白い

 脳の科学が話題と関心を集めています。書店には、脳に関する本がたくさん並んでいます。その光景は、脳の科学が面白いという時代の訪れを物語っています。最近世界的に、脳の科学が進み、新しい発見が次々と発表されるとともに、脳のつくりとしくみが少しずつ解ってきました。

私たちにとって最も大切な心のはたらきは、脳で実現されています。見たり、聴いたり、触ったりして、外の世界の様子を知ることができるのは、脳が働いているからですし、身体を動かしたり、何をするかを決めるのも脳です。喜びや悲しみ、快感や不快を感ずるのも脳のはたらきです。出来事や体験、さまざまな知識を憶えているのも脳です。さらに、判断したり予想したりすることも脳がしているのです。ですから、脳を知るということは、人間を知るということにつながります。そのように考えていくと、脳がどのようにつくられ、働いているのかを知ることの意味の大きさを納得して戴けるでしょう。脳科学の最大の魅力は、さまざまな精神機能がどのようにして実現するかという、その基本原理を知ることにあります。

 脳をつくっている細胞の働き、脳細胞を作っている分子の作用、そして分子をタイミング良く作り、働かせる遺伝子の働きが解ってきました。それは分子レベ ルでの生命科学の進歩のおかげです。一方、私達が実際に感じたり、憶えたり、判定したりという精神作業を行っているときに、脳のどこが働いているかを調べ る技術も開発が進み、コンピューター画像として目に見える形で表示する事も出来るようになりました。そのようにして、人類最大の謎とされる脳のしくみに、 科学のメスが入ってきたのです。

■ 脳科学への期待

 そのように脳が少しずつ、しかし着実に解ってきますと、脳科学の知識を応用して、私達の健康や生活の向上に役立てられるのではないかという期待が生まれます。実際、脳科学の恩恵を直接的に受けるケースも増えてきました。遺伝子診断法の進歩で、難しい神経難病の診断が確定した人、どうしても止まらなかった不随意的な運動を、脳定位手術で止めることができた人等です。人工内耳や電動義肢なども、脳科学の応用で機能が高まりつつあります。さらに、認知症やうつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、統合失調症など、困難な精神疾患の問題解決に、脳科学が新たな突破口を開くことが期待されます。

 他方、脳のどこが、どのような場面で働くかを測定する方法が開発されてきたことは、脳科学を医学・医療の分野のみならず広汎に応用しようという発想に結びついています。効率的な教育の手法の開発に役立てようという試み、物品の購買や流通などの経済行動における心理の探求に、脳科学を応用する動きも出てき ました。工場や職場での生産性向上にも、脳科学を役立てようという試みも生まれています。そして、”脳を育む”という大切な目標に向かって、脳科学の視点に立脚した合理的な子育て理論の確立も望まれます。

■ 黎明期にある脳科学

 そのように脳科学の可能性は大きく拡がっていますが、しかし忘れてはならない事があります。それは、脳科学は未だ始まったばかりで、本格的に展開されるのはこれからということです。私達が脳の仕組みと働きを解明する有力な手段を手にしたのはごく最近の事です。しかも、脳科学の手法と技術自体も、開発途上にあるのです。つまり、始まったばかりの脳科学によって、解ったことは未だわずかで、解っていない事の方が、はるかに多いのです。脳科学はこれからです。今まで全く思いもかけなかった大きな発見が、これから続々と生まれてくることでしょう。

 この現状をふまえたとき、脳についてあまりにも性急な結論をすることは、今の段階では適切でないと言えます。脳科学者の発言が慎重なのは、脳科学の発達 段階の認識があり、厳密を重んずる姿勢が身についているからです。その反面、一般に売られている本の中には、大胆な結論や安易な表現が目につきます。「脳が解った」とか、「脳の難病が治る」というたぐいの本には、誤りと誇張が目立ちます。

 さらに、「脳の活用法」「科学的な記憶術」、あるいは「頭が良くなる」、「食事で直す脳の病気」など、いわゆる”ハウ・ツウ”ものには、眼を覆いたくなるような不適切な内容が目立ちます。一般の興味本位で売られている脳の本の中には、脳の理解の現状から遊離した、妥当性を欠くものがあることにご注意ください。

 脳科学はまだ生まれたばかりですが、科学に共通した厳密性、再現性を大切にしながら、一歩一歩、着実に進んでいます。その目標は、 人の心の働きに対応する精神機能の全てを対象にして、その働きのしくみを脳のシステムのレベル、局所的な神経回路のレベル、そして脳細胞のレベルとそれを形成する分子のレベルで解明し、各レベルにおける機能のつながりを統一的に理解する事です。

■ 東北大学の脳科学

 東北大学では多くの脳科学者が、脳の研究に励んでいます。このホームページの “研究者情報” を見て下さい。そこには、脳研究者グループの代表者の一覧表があります。その表にある通り、脳研究は大変多くの研究室で行われています。医学、生命科学、工学、医工学、情報科学、薬学、農学、歯学、教育学、文学という、多数の研究科だけではなく、加齢医学、電気通信などの研究所で、脳科学の研究の場があります。

 東北大学における脳研究は、多彩で豊富な研究内容がその特徴です、そこには、いわゆる理系とか文系という垣根を越えた広い視野から、多様な研究手法を 使って、脳のはたらきとその仕組みを探求しているのです。そして、国際的に先端レベルでの研究を行っている事が大切なポイントで、その研究の成果は、世界に向けて発信を続けています。

■ 脳科学へのお誘い

 人類にとって、永い間深遠な謎とされてきた脳のしくみと働きに科学のメスが入れられ、大変興味深い、そして大切な事が解ってきました。それを理解することは大変面白く、その意味を考える意義は深いと思われます。脳の働きを理解する事は、人の心の動きを理解する事につながるからです。

 しかし、脳科学が軌道に乗ってくると、その発見の意味を理解する事は、簡単ではありません。新しい発見の意味するところを正確に理解するためには、脳科学の専門家による解説が必要となります。

 そこで、東北大学の脳科学センターとしては、一般の方々を対象とし、脳の仕組みと働きについて解りやすく説明し、そして最近話題となっている新しい発見について、解説をする機会を以下のように設けます。

一般公開講演会

当センターを会場として、一般公開による講演会を催します。昨年は、11月27日(土)”脳を科学する-脳の分子から精神現象の理解まで”というタイトルで開催しました。次回の講演会は、このHomePageから御案内致します。是非ご来場下さい。

脳カフェ

東北大学の脳科学GCOEという組織が運営するもので、脳科学者と聴き手の参加者が対話をしながら、脳科学のテーマについて理解を深めます。詳しくは東北大学のGCOEのWebsite参照。ウェブサイトはこちら

出張講演

企業や団体の企画による脳の講演会。
講演の内容は、原則的には依頼を受けた企業・団体の希望を尊重し、適切な講師を当センターから派遣します。
詳細は事務局へお尋ねください。(Tel: 022-217-6191)