坂井 信之 准教授

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坂井 信之 准教授

クラスター:認知・社会, システム

専門の研究領域と研究テーマ
認知神経科学
「おいしさ・ものの使い心地に関する心理学・神経科学的研究」

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基本情報

職位

准教授

所属部局

文学研究科

分野名

心理学専攻分野

研究手法と
テクニック

機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)
近赤外分光法(NIRS)
心拍変動・唾液アミラーゼ活性
動物実験(ラット)・免疫組織化学

研究室所在地

川内南キャンパス文学研究科棟

電話番号

022-795-7691

メールアドレス

nob_sakai [@] m.tohoku.ac.jp

所属学会

日本心理学会
日本応用心理学会
認知神経科学会
日本味と匂学会
日本健康心理学会
日本歯科心身医学会

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経歴

大阪大学人間科学部・大学院人間科学研究科修了・博士(人間科学)。日本学術振興会特別研究員(広島修道大学)、科学技術振興事業団科学技術特別研究員(産業技術総合研究所)、神戸松蔭女子学院短期大学・大学・大学院准教授を経て、2011年10月に東北大学大学院文学研究科准教授に着任。におい・かおり環境学会学術賞(2006年)、電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーション賞(2013年)授賞。

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主要業績

Onuma, T., Fuchimoto, J., Sakai, N. (2013) Brand Categorization and Hedonic Transfer: Negative Evaluations of a Beverage Transfer to a Novel Beverage from the Same Brand. TOHOKU PSYCHOLOGICA FOLIA 72: 46 -62.

坂井信之(2013)消費者はどのようにしておいしさを感じているのか? ソフト・ドリンク技術資料, 170: 173-186.

田中観自・陳娜・坂井信之・渡邊克巳(2013)食器の材質・質感における感覚間統合が味覚評価に及ぼす影響 電子情報通信学会技術報告, 113(128): 7-10.

大和久美紀・坂井信之(2013)香りによる対人印象・魅力の変化 Fragrance Journal, 2013-3: 81-86.

坂井信之・斉藤幸子(2013)脳計測でにおいをはかる―fMRI(機能的核磁気共鳴画像法)・NIRS(近赤外分光法)で測る― Aroma Research, 14: 23-28.

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研究紹介

1. 食物認知における感覚間相互作用
ラットやヒトなどの雑食性動物は、自己の食経験によって、食べてよいものと食べてはいけないものを識別します。この学習に重要な感覚が味覚と内臓感覚です。食べてはいけないものの代表は食中毒やアレルギーを引き起こす食物です。ラットやヒトなどの雑食性動物は、以前食べて具合が悪くなったものの味を覚えていて、二度とその味のするものは食べないという学習(味覚嫌悪学習)を獲得するための脳の仕組みを生得的に備えています。この脳の仕組みを明らかにしようと試みていたのが、私の大学院時代の研究でした。
しかしながら、実験室のラットは味覚だけで識別しますが、実生活の我々は味覚だけで食物を識別することはありません。そこで、ヒトを対象とした心理学実 験とラットを対象とした行動神経科学実験から、我々の食物識別の手がかりは主にニオイであること、ニオイは味覚と急速な連合を見せ、味覚を取り込んで一体化すること、その結果ニオイを嗅いだだけで味覚を感じてしまうことなどを明らかにしました。おかげさまで、これらの業績は公刊から10年以上経過した今で もよく引用されています。
最近では、この現象を応用して、味覚機能が低下した方々の生活の質を向上させることを目的として、香りを積極的に活用した食物や調理、食べ方などの工夫を提案しています。

2. 香りの認知とその応用
ポスドクで産総研に在籍していたときに、悪臭公害のプロジェクトに参加する機会がありました。そのときにおこなったのは、私たちの香りの認知は、ニオイ物質そのものに起因するというよりは、そのニオイ物質のにおいを何のにおいだと思うかということに起因するという研究でした。つまり、同じ物質であっても、それをアロマセラピー用のアロマだと思うか、殺虫剤のにおいだと思うかによって、脳の反応は全く異なり、その結果、そのにおいの快不快や順応などのパターンも異なったのです。同じような研究は海外の研究者によって、異なったニオイ物質で、欧米人の実験参加者によっても確認されています。
最近では、香りマーケティングやスメハラ(スメル・ハラスメント)という言葉をよく聞くようになってきました。例えば、焼き鳥やうなぎの蒲焼きなどの香 ばしい香りを嗅ぐとお腹がなったり、不快な香りを嗅ぐと不快な気分になるなど、香りが無意識のヒトの行動に影響を与えることが、これらの現象の背後にあると考えられます。私たちも、香りが他者の性格の判断に重要な役割を果たしていることを実験で確認しています。

3. 心理学・脳科学の実生活場面での応用
東北大学に着任してから、心理学や脳科学の知見をマーケティングや自動車の運転、医療・歯科治療場面などの分野に応用しています。これらの研究は、私一人で出来るものではありませんので、企業の研究者の方々や医学部や歯学部の先生方と共同でおこなっています。


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ラットの味覚と嗅覚の連合は第一次味覚野で生じる。情報処理の初期段階で連合が生じるため、嗅覚を「味」だと思い込んでしまう。(Sakai & Imada:Neurobiology of Learning and Memory, 80, 24-31, 2003)


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同じ香り(アネトール)を嗅いでいても、「アロマ」と教示を受けた群(ポジティブ群)と「殺虫剤」と教示を受けた群(ネガティブ群)とでは、応答する脳部位(fMRIにより測定)が異なる。(坂井ら:におい・かおり環境学会誌, 37, 9-14, 2006)


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現在の研究の一部の紹介。上段左から、容器がハムのおいしさに与える影響を調べる実験、ストレスの生理反応を計測する装置、共同研究先で使用しているにお い呈示装置とMRI、中段は用いている香水のボトル、色違いの味溶液(味は同じ)、下段左からタオルの手触りの官能評価、シャンプーの香りの評価、 NIRS(近赤外分光法)の簡便な装置

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担当授業

学部・大学院:全学教育

科目名

心理学

開講形態・時期

後期 毎週水曜日4限

開講場所

川内北キャンパスB103

他学部・他研究科在籍学生の聴講

聴講:可; 単位取得:不可

授業内容

医歯薬系の心理学入門

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学部・大学院:文学部 / 文学研究科

科目名

応用心理学各論/特論

開講形態・時期

前期 毎週水曜日3限

開講場所

川内南キャンパス

他学部・他研究科在籍学生の聴講

聴講:可; 単位取得:不可

授業内容

おいしさを知覚する人間の仕組み(知覚、感情、認知、社会、健康)
購買行動とヒトのモノの知覚の仕組み

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メッセージ

学部生のみなさんへ
「文学研究科なんて本を読むだけでしょ?」という偏見は間違っています。私も文学研究科に着任して認識を改めました。特に、心理学研究室は、下手な理系の研究室よりも、遥かに科学的です。文学研究科の心理学研究室の実験心理学系の教員は全員科学的な視野と経験に基づき、文系的な興味を持って、研究しています。「理系」にもの足りなさを感じている方、「文系」だけど科学的なアプローチをしたい方、ぜひ一緒に研究を進めましょう。

高校生のみなさんへ
私は大学受験直前、「隣の人と私は同じ景色を見ているはずだけど、そのことをどのようにしたら証明出来るだろうか?」とふと考えてしまいました。その答えを知りたいと思い、どこに行けばそのような研究出来るか調べると、『哲学』という学問らしいということがわかりました。そこで、受験直前に文転し、大学に入学しました。ところが、大学2年生のときに、「哲学は頭の良い人しか勉強出来ない」ということを痛感し、神経科学(生理学)の研究室に。そのような私が最終的に、神経科学と哲学の両方の中間ともいえる心理学研究室で教えることになろうとは、高校生のときには予想もできなかったことです。今、ようやく高校生のときの疑問に答えることができそうな気がしています。皆さんも、今疑問に思っていることを突き詰めてください。きっと、20年くらい、他の誘惑に負けず、他の雑念に囚われず、一生懸命になることができる飯の種が見つかるはずです。

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