山元 大輔 教授

基本情報経歴主要業績研究紹介担当授業メッセージ

山元 大輔 教授

クラスター:分子・細胞, 回路

専門の研究領域と研究テーマ
行動遺伝学
「性行動をうみだす遺伝子・細胞機構」

関連ウェブページ
http://www.jst.go.jp/erato/project/yks_P/yks_P-j.html

基本情報

職位

教授

所属部局

生命科学研究科

分野名

脳機能遺伝分野

研究手法と
テクニック

遺伝学

研究室所在地

片平キャンパス 生命科学プロジェクト総合研究棟 4階(403-409号室)

電話番号

メールアドレス

daichan [@] m.tohoku.ac.jp

所属学会

日本神経科学学会
日本分子生物学会
日本遺伝学会
日本発生生物学会

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経歴

1978年 東京農工大学大学院農学研究科修士課程修了
1980-1999年 (株)三菱化学生命科学研究所 脳神経生理学研究室 研究員 (退職時:室長)
1981年 理学博士 (北海道大学)
1981-1983年 米国ノースウェスタン大学医学部 薬理学教室 博士研究員
1994-1999年 JST ERATO (科学技術振興事業団) 山元行動進化プロジェクト総括責任者
1999-2003年 早稲田大学人間科学部教授 (遺伝学)
2003-2005年 早稲田大学理工学術院教授 (遺伝子生物学)
2005年-現在 東北大学大学院生命科学研究科教授 (脳機能遺伝分野)

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主要業績

Kimura, K-I., Ote, M., Tazawa, T., and Yamamoto, D. (2005), fruitless specifies sexually dimorphic neural circuitry in the Drosophila brain. Nature 438, 229-233.

Broad Institute Gemone Sequencing Platform and Broad Institute Whole Gemone Assembly Team. (Yamamoto, D., 221st). (2007). Evolution of genes and genomes on the Drosophila phylogeny. Nature 450, 203-218.

Kimura, K-I., Hachiya, T., Koganezawa, M., Tazawa, T., and Yamamoto, D. (2008). Fruitless and Doublesex coordinate to generate male-specific neurons that can initiate courtship. Neuron 59, 759-769.

Takeuchi, K., Nakano, Y., Kato, U., Kaneda, M., Aizu, M., Awano, W., Yonemura, S., Kiyonaka, S., Mori, Y., Yamamoto, D., and Umeda, M. (2009). Changes in temperature preferences and energy homeostasis in Dystroglycan mutants. Science 323, 1740-1743.

Koganezawa, M., Haba, D., Matsuo, T., and Yamamoto, D. (2010). The shaping of male courtship posture by lateralized gustatory inputs to male-specific interneurons. Curr. Biol. 20, 1-8.

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研究紹介

動物は種ごとに独特の行動をします。人間がしゃべるというのも種特異的行動です。なぜ、きちんと同じ行動を何の苦もなくできるのでしょうか。そして、“種ごとに違う”という行動の多様さはどのようにして生まれてきたのでしょうか。 おそらく、遺伝情報の中に行動の仕方の指南書(行動制御遺伝子)が含まれていて、それは神経回路の配線を種特有のものに組み立てることを通じ、この作業を成し遂げるのでしょう。しかし、その遺伝情報の本体は未知であり、神経回路の実像も不明です。

私たちは遺伝的にきっちりと決まったパターンをもつ性行動に着目し、遺伝子の突然変異を容易に作り出すことが出来るキイロショウジョウバエを材料に選んで、行動制御遺伝子とそれが作りだす神経回路の実体を解明することに取り組んでいます。

私たちは雄が同性愛行動をとるように変化した突然変異体の作成に成功し、これをsatoriと命名しました。続いてsatori系統で変異を起こしているのがfruitlessという遺伝子であり、この遺伝子が脳の細胞の性を決定する役目を担っていることを、遺伝子クローニングによって明らかにしました。 一般に遺伝子に書き込まれた情報は、特定のタンパク質を作りことに使われます。fruitless遺伝子の場合は、雄になる予定のハエだけでそのタンパク質が作られます。Fruitlessタンパク質が作られるとその細胞は雄として発生する運命をたどるのです。Fruitlessタンパク質を持たない細胞は、雌の性質を獲得します。

fruitless遺伝子が働いているのは、10万個以上ある神経細胞のうちの2000個程度です。これらを「fruitless発現細胞」と呼びます。

fruitless発現細胞を一つずつ脳の中に染め出して雌雄で形を比較してみたところ、もともとは同じ細胞であったものが、成虫になるとはっきりと違った形になるものがあることがわかりました。つまり、一個一個の脳細胞に性差があるのです。この性差によって本来同じだった脳細胞が、雌雄で違った情報を受け取るようになり、違った情報処理をして、最終的には行動の性差を生み出すと考えられるわけです。

こうした性差を示すfruitless発現細胞を人工的に興奮させると、その雄は雌がいなくても性行動を始めます。また、雌のfruitless発現細胞を雄に性転換すると、雌でありながら雄の性行動をするようになります。

このように、一個の遺伝子の操作によって、また一個あるいは数個の脳細胞の操作によって、ハエの性行動をコントロールすることに成功しました。種ごとに 違った性行動のパターンも、このfruitless遺伝子の違いによって説明できるのではないかと考えて、さらに研究を進めています。ショウジョウバエの性行動には驚くべき多様性があります。たとえばハワイ島にしかいないDrosophila heteroneuraという種の雄は、まるで有蹄類のようにレック(生殖のための縄張り)を作って互いに争いますが、こうした特異な行動も、あるいはfruitlessのような遺伝子の変化によって生まれたのかもしれません。行動の進化の謎解きはまさにこれから始まろうとしています。


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fruitless (satori) 変異体の雄同士が輪になって求愛するようす (小川もりと 提供)


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fruitless発現ニューロンの一つ、mALの性差。左が雄、右が雌 (木村賢一 提供)


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雄同士が頭突きしてレック(なわばり)を争うショウジョウバエのハワイ固有種 (近藤康弘 提供)

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担当授業

現在情報整理中になります

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メッセージ

学部生のみなさんへ
行動の進化を脳の神経回路の進化から解き明かす。そのツールとして遺伝子を操作するのが我々の戦術。マクロからミクロまで、全てを知りたい諸君、山元研へ集合!

高校生のみなさんへ
虫好きの好奇心から始まった研究です。なぜ虫たちがこんなにも多様で奇抜な行動をするようになったのか、その謎に迫ります。

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